これまでの投稿では主に旅行系や海や船系、寺社仏閣たまにその他思った事を書いていましたが、
これから数記事ほどは廃線に関連したものについてもあげていこうかなとも思っています。
国鉄宮之城線
宮之城線は鹿児島県の川内駅から薩摩大口駅までの66.1kmを結んでいた国鉄のローカル線でした。
国鉄再建法の施行により第2次特定地方交通線(いわゆる赤字ローカル線)に指定され1987年1月10日、国鉄民営化の直前に廃止となりました。
今回は国鉄宮之城線の駅のなかで最も変わった構造をとっていた薩摩永野駅の遺構についてとりあげていこうと思います。
永野鉄道記念館
現在当駅の駅舎は存在しないのですが、代わりに永野鉄道記念館という建物があます。
建物内に改札や駅名標などが展示されています。
こう見ると普通の駅のようにみえるのですが、駅名標をよくみてみると宮之城線の中間駅でありながら両隣の駅名が片側のみに書かれています。ここに当駅の特徴が現れています。
スイッチバック駅
そう、当駅の特徴は先に載せてある路線図の通りスイッチバック駅であることです。しかもこのスイッチバック構造はただ坂がきついから存在するというわけではなさそうだということが、後で載せる写真を見ていただければわかるかと思います。
追記、南薩線上日置駅は違う形のスイッチバック駅でした。こちらの記事も参考にしてください。
平面スイッチバック、いわゆる折り返し駅
この写真のアスファルトの所にレールが敷かれていました。写真左奥に進むと宮之城・川内駅方面へ、一方、右奥に進むと薩摩大口駅方面に向かうことになります。
見た感じでは坂があるけど急勾配のようには見えません。下に載せてある写真を見ると分かると思います。なお、現在道路沿いにはソメイヨシノの木が植えられており、桜の花が満開を迎える季節になるとものすごく見応えがある風景になるそうです。大口駅近くの忠元公園にも負けないかもしれません。タイミングが合えば是非とも撮りに行かなければ。
引きの写真で見ると二本の線路が直進と交差していた事がわかります。駅周辺の地理はすぐ下にある地図を参照してください。薩摩永野駅を飛ばして両隣の広橋、針持駅を直線で結んだ方が距離的には短くなるのですが、わざわざ当駅に立ち寄っているように線路は敷かれていました。それには理由がありました。
配線の不思議
上の地図を拡大すると永野金山跡(近々記事にしようと思います)という史跡があります。そう、永野金山があり周りに大きな集落があったために当駅が作られたそうです。ちなみに、地図をもっと縮小してみると薩摩永野駅からさらに山を越えて肥薩線の大隅横川駅に接続することはできそうでした。が、当の永野金山が1965年に閉山したため、集落の人口は減ったのは容易に想像できます。列車の本数もそれほど多くはなく川内〜薩摩大口運用が7本くらい、川内〜宮之城、川内〜薩摩永野、針持〜薩摩大口など区間運用の列車が数本いたそうですが、各方面に向かうのに利便性が良かったのか?というと微妙だったみたいで1984年には第2次特定地方交通線として廃止承認、1987年1月10日宮之城線は全線廃止となりました。
展示設備や車両など
以下の写真は永野鉄道記念館で展示されている鉄道設備、車両になります。
上2枚はモーターカー、保線作業するための機械扱いになります。
車掌車ヨ8000形も置かれていました。車内は石炭ストーブ、垂れ流し式トイレ付きでした。
この写真の山手の方にかつての永野金山有りました。そのため周囲には大きな集落があったそうです。この山を越えるように線路を敷設すれば今の肥薩線大隅横川駅の近くに接続することも可能であったかと思われます。(霧島方面にいく近道となり、国分隼人、鹿児島市方面に鉄道でいくとなった場合ショートカットできたかも)別で触れますが、宮之城から鹿児島市へ向かうには(国鉄バス時代から)JRバスが1日数本入来峠越えで設定されています。
最後に薩摩永野駅跡は場所的に山奥というわけではないけど、なかなかわかりにくいところにあって現在は少し秘境感があるのですが、鹿児島空港からそんなに離れておらず1〜2時間置きに1本いる鹿児島空港はつ阿久根行きの空港バスで行くこともできます。スイッチバックの施設もいいのですが、桜の満開の季節を狙うのが一番いいのかなと思うところでした。
2022年4月追記、近日中に春の薩摩永野駅を訪れたことについて書く予定です。
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